アラスカ州と地震
〜事前の備えが大事〜
アンカレッジ市には、1964年に起きた大地震を記念して「地震公園」(Earthquake Park)が建設されています。公園の一角には、「Living with earthquakes-One thing is certain, Anchorage will have more stronger earthquakes in the future」(地震とともに生きる上で一つ確かなことは、アンカレジにはこれまで以上に大きな地震が来ることである)という言葉が掲示されています。アラスカは地震が多いことから、地震に備えるために参考となると思われる諸点をとりまとめましたので、ここに紹介します。
1.震災には事前の備えが大事
アラスカ州では地震が多く、また大地震も発生しています。事前の備えが十分であれば、地震やその他の自然災害時の被害を最小限に抑えることができます。以下に在シアトル日本総領事館とFederal Emergency Management Agency(FEMA)のホームページの関連部分にリンクをはっておりますので、ご参考までにご一読ください。
○在シアトル日本総領事館
http://www.seattle.us.emb-japan.go.jp/Japanese/safety/earthquake_region.htm
○FEMA
2.アラスカ州での地震の発生状況
(1)特徴
アラスカ州は環太平洋火山帯に位置しており、北米で最も地震の多い州で、大地震も発生しています。1964年3月にアラスカ湾のプリンス・ウイリアム・サウンドで発生した大地震は、マグニチュード9.2で、世界で第二番目に大きな地震とされています。この他にも、アラスカでは世界的に見ても大きな地震が発生しており、これまで世界で起きたマグニチュード8.6以上の大地震(16件)の内、3件は、1957年、1964年、1965年にアラスカ州で起きています。アラスカ州は、日本、チリ、インドネシアとならんで地震が多く、微震も含めると、一日当たり40〜50回の地震が起きています。
最近の地震の発生状況については、下記の米地質調査所(USGS)のホームページをご参照ください。
http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/recenteqsus/Maps/special/Alaska.php
(2)地震が多い理由
アリューシャン列島、アラスカ半島、南部アラスカ沿いに、アリューシャン・メガスラスト断層が併走しています。この付近は、「北アメリカプレート」と「太平洋プレート」間の境界となっており、「太平洋プレート」が「北アメリカプレート」の下方に年間5〜7cmの速度で沈み込んでいます。プレートが沈み込む過程で断層運動が生じるため、アラスカ州では地域により地震が多く発生します。この種の地震は、「プレート境界型地震」とか、海溝で起きることが多いため「海溝型地震」とも言われています。また、アラスカ湾内で、地殻の一部が大陸の南端で大陸の下方に押し込まれており、その影響でアラスカ湾内や内陸部で地震が発生します。
アラスカ地震情報センター(AEIC)は、以上の地震発生のメカニズムを図示した米地質調査所作成の資料をホームページに掲載していますのでご参照ください。
http://www.aeic.alaska.edu/vltpage3.html
(3)地震の発生率
一般的には、大地震が発生する確率は何百年に一回であると考えられていますが、近年の地球物理学者の研究においては、アラスカ湾のヤカタガ・ギャップ及びコディアック島とシュマギン・アイランズとの間の区域で、幾つかの断層が活発化し、マグニチュード8台の地震が起きる可能性があると推測されています。マグニチュードが6.8から8.0の地震はアラスカ州ではよく発生しており、マグニチュード7程度の地震はおおよそ2年に一回は起きています(AEICのホームページの「overview」をご参照ください)。
(4)大地震の記録
これまで発生した「大地震」を、「北米」と「世界」の別に分けてとりまとめました。
(ア)北米(M8.0以上の地震)
1964年03月28日 プリンス・ウイリアム・サウンド・アラスカ M9.2
1700年01月26日 米国西海岸(バンクーバー・アイランド〜北カルフォルニア)M9.0
1965年02月04日 ラット・アイランズ・アラスカ* M8.7
1957年03月09日 アンドレアノフ・アイランド・アラスカ* M8.6
1938年11月10日 シュマギン・アイランズ・アラスカ* M8.2
1946年04年01日 ウニマク・アイランド・アラスカ* M8.1
1899年09月10日 ヤクタット湾・アラスカ
(注)*印がついたものはアリューシャン列島に所在します。
詳しい記録は、米地質調査所のホームページをご参照下さい。
http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/states/historical_mag.php
(イ)世界(M9.0以上の地震)
1960年05月22日 チリ M9.5
1964年03月28日 プリンス・ウイリアム・サウンド・アラスカ M9.2
2004年12月06日 スマトラ・インドネシア M9.1
2011年03月11日 東日本 M9.0
1952年11月04日 カムチャッカ M9.0
1868年08月13日 アリカ・チリ M9.0
1700年01月26日 米国西海岸(バンクーバー・アイランド〜北カルフォルニア)M9.0
詳しい記録は、米地質調査所のホームページをご参照下さい。
http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/world/historical_mag.php
(5)関連のホームページ
アラスカ地震情報センター(AEIC)http://www.aeic.alaska.edu/
米地質調査所(USGS)http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/
アラスカ大学フェアバンクス校地球物理学研究所http://www.gi.alaska.edu/
西海岸津波警報センターhttp://wcatwc.arh.noaa.gov/
アラスカ火山観測所http://www.avo.alaska.edu/